カテゴリ: 宏樹庵便り

4月6日(土)14時よりシンフォニア岩国多目的ホールにて恒例の石井啓一郎ファミリーコンサートが開催された。
チラシのデザインはいつも宏二郎が引き受けてくれていたのだが、彼が時間がなく初めて外部のデザイナーに頼んだ。昨年のチラシを参考に違和感なく作ってくれたので大変良かった。
錦帯橋は昨年創建350年を迎えた。美しく、また災害に対しても一工夫も二工夫もされている。錦川の桜に映えて一段と美しい季節にこのファミリーコンサートは開催される。
今回のプログラムにはチゴイネルワイゼンを入れなかった。アンケートに何か淋しさを感じる文が寄せられるかと思ったが意外と、「いつもと違った曲を楽しませていただきました。」「本当にアットホームなコンサートで心温まります、啓一郎さんのトークも知的で大変楽しめました。」「心に寄り添うようなピアノの響き、ヴァイオリンの根の張った脱力感漂う中でのメリハリ、とても心地良かったです。」など好評の声が届いた。また、冒頭3人での愛の挨拶に続いて、ヴァイオリンのブラームス ハンガリア舞曲5番、フルートでマルティヌーのスケルツォ、ヴァイオリン 鶴、フルート 七つの子、ヴァイオリン バスク綺想曲、フルート ベルトミューのロマンティック組曲と、フルートとヴァイオリンの曲が絡み合ったプログラムだったので、陽子のフルートがたくさん聴けてすっかり虜になりました、などお客さんは大変喜んでくれた。後半もドイツでもフランスでもなく、北欧ノルウェーの作曲家グリーグのヴァイオリンソナタ、これも新鮮だったようだ。
このコンサートも2002年に始めて、今回で23回目となった。コロナの年も奇跡的に開催できた。初めはクラシックの演奏などほとんど聞いたことがないようなお客さんだったが、ずいぶん親しんできたという印象を感じた。
これからも、知っている曲、全然知らない曲、いろいろな曲をお客さんと楽しんでいきたい。

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歩いて10分位の上の畑に久しぶりに行った。ニンニク、玉ねぎ、キャベツ、ネギの成長は大変順調で、3月に入ったらいつも追肥をするのだが、それも要らないかなと思う程だった。

宏二郎が3月1日と2日二日間にわたって灘供用会館にて川口由一の「自然農というしあわせ」と言う映画の上映会を催した。私はちょうど京都に行かなければならない用事があったので見ることが出来なかったが、川口由一という人は「耕さず、草や虫も敵とせず、農薬・肥料も用いない」農法を確立した人らしい。私たちは化学肥料は全く使わず作物を育てているが、「草や虫も敵とせず」という訳にはいかない。何年か前、玉ねぎの畑の草をしばらく取らないで放っておいたら、草の方が玉ねぎより生育が良くて、玉ねぎに全然日が当たらず小貧弱な玉ねぎしか収穫できなかった。それからは時々見に行っては草を取っている。今日も一畝玉ねぎの周りの草を取った。オオイヌフグリもホトケノザも花のない草々も道端に生えていれば春らしくて良いのに、畑に生えると食物と差別されて抜かなくてはならない。「今度生えてくる時には道端に生えてね!」と祈りながら抜く。私たちは玉ねぎを食べるために植えている。玉ねぎ自身も満足に収穫してほしいと願っていると思う。玉ねぎが充分に育ってほしい。
草との向き合い方は、人間との向き合い方にも通じるところがあるかもしれない。
子供は親が手出しをしなくても育つ。親が「当然」「社会常識」を押し付けなくても育つことは育つ。でも子供が自分で何か意識するまでにある程度は教えた方が良いと思う。草抜きである。親の思うレールに乗せるのとは違う。子供がやりたい事を見つけられれば、その後押しをするのは良い。でも、子供がやりたい事って?

玉ねぎは5月終わり頃には収穫できると思う。それまで順調に育ちますように!


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玉ねぎ
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キャベツも美味しい!
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宏二郎の畑の玉ねぎ 草に混じりながら懸命に伸びている
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ニンニクとネギ。ここは本当に日当たりが良い。










2000年から続いている岩国での「散歩がてらのコンサート」。室内楽の講習会の最終日の発表会なのだが、これを東京近郊でも開いてもらえないかという声はずっと以前からあった。
今回イギリス館という横浜市指定文化財の古い洋館のホールが取れたので、横浜市に住む桜庭さんが中心となって「散歩がてらのコンサート@横浜」という演奏会が実現した。2月24日(土)に横浜市のラフィネや川崎市のミューザ川崎でレッスンをし、25日(日)イギリス館で本番を迎えた。出演者は桜庭さんのお弟子さん3人の初参加を含め、岩国で参加したことのある人やその仲間たち、合わせて24人。ベートーヴェンのピアノ三重奏曲「大公」1・4楽章やモーツァルト弦楽四重奏曲など11曲、それに最後は石突美奈ちゃんと桜庭さんと私でスメタナのピアノ三重奏曲1楽章を演奏した。
客席数は50しかないのだが大変響きの良いホールで、出演者皆それぞれ力演。とてもいい演奏会だった。来年またイギリス館が取れるかどうかはわからないが、イギリス館が取れなくてもどこかで続けていきたいと皆が思ったようだった。

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レッスン風景

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岩国では古株のチェロの桜ちゃん、ベートーヴェンの大公に挑戦
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初参加の桜庭さんのお弟子さん。とてもチェロがよく鳴っていた。
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11月に入って2か所の訪問演奏会があった。
1つは9日、岩国市通津の専徳寺の幼稚園日照こども園にて10時半より。
緑色の制服を着た子供たちの目は、これからどんな事が始まろうとしているのか期待に満ちてキラキラしていた。
「愛の挨拶」や「チゴイネルワイゼン」、ウクライナの歌「鶴」ポリアキンの「カナリア」などの間に子供たちが歌う「さんぽ」も入れて30分はあっという間だった。子供たちの「さんぽ」は一度歌ってみてから今度はこの部分を小さな声で歌ってみようと教えたら、本当にその部分が来るとみんながびっくりする程そおっと歌って上手だった。演奏会が終わった時、どの曲が一番楽しかったかと聞いたら「さんぽ!」という声があがったのはそうかなと思ったが、「鶴!」と答えた子もいて、あの曲はウクライナの兵士が戦争で倒れ、鶴になって空を飛ぶという暗い曲なのに、子供でも何か感じることがあったのかと感慨深かった。
今の園長先生の前々代の園長先生は自分でもチェロを弾き、音大に行きたかったのをお寺を継がなければならず諦めて、でも子供たちに音楽のある豊かな生き方を教えたくてアコーディオンやピアニカやそのほか色々な楽器を揃えて子供たちと共に楽しみ、ある時は子供たちを引き連れて広島まで演奏しに行ったこともあるそうだ。
この幼稚園での演奏会は今回が初めてだったが、今後も続きそうな気がした。

2つ目は14日の和木中学校。
これは毎年岩国西ロータリークラブが主催して市内の中学校を訪れる企画なのだが、もう岩国市内の中学校すべてを回ったので今回は隣町の和木町の中学校となった。全校生徒190人ほどと先生方が、体育館ではなく、暖房の効いた立派な講堂に集まり、ピアノもヤマハのC7が置いてあった。
和木町には大きな工場がいくつもあり、給食費も無料など豊かな町なので、岩国市がまわりの町と合併して広くなった時も岩国市には属さなかった。校長先生はたまたま宇部市出身で石井と話が合ったが、やはりここでもスマホ中毒の問題や不登校など少しずつ病んでいる子供が増えてきていると話されていた。子供たちだけでなく先生方の中にも病んでいる人がいるかもしれない。管理された教育現場の在り方を憂う。
でも和木中の子供たちは大変素直だった。こちらからの問いかけにも個々ですぐに答えてくれた。今はユーチューブその他でいくらでも好きな曲を聴くことができるが、生きた人間がすぐ目の前で演奏して、音だけではない何かを感じてくれたと思う。
まわりと同じでなくてもいい。自分が自分なりに感じて生きていける力を持ってほしい。そういう事を伝えたくて演奏を続けている。

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前々代の園長先生の指揮姿

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和木中学校での演奏





9月16日から18日にかけてミュージックキャンプ宇部が開催された。
2021年はコロナのため直前になって中止、2022年は各地から受講生が集まってきてレッスンは受けたものの大型台風直撃のニュースで中途解散。まともに最後までやり切れたのは3年ぶりだった。とは言っても、今回も前日になって参加者の一人が体調不良になり急遽参加を取りやめたため、そのグループの人たちも参加できないことになってレッスンスケジュールを変更したり代わりに弾いてくれる人を探したり、とにかく始まる前の日だったので大変だった。
参加者は結局35人。東京から3人、関西から2人、広島から1人、山口県下は29人。講師はヴァイオリン石井啓一郎、チェロ桜庭茂樹、ピアノ石井啓子の3人。スメタナのピアノ三重奏曲やサンサーンスのピアノ五重奏曲、クレンゲルのチェロ四重奏曲、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲など15曲に挑んだ。レッスンは16日と17日の朝から晩まで俵田邸にて、最終日18日の午後1時半からヒストリア宇部にて演奏会が開かれた。
参加者は二日間のレッスンで得たことを十分に発揮していい演奏だった。特に、直前にチャイコフスキーの弦楽四重奏曲のヴィオラの代役を任されたSさんは本当に大変だった。耳で聴いただけでは何拍子か分からないほどの複雑なリズムで、宇部に来るまでの新幹線の中で譜読みをしてくれたのだが初めはなかなかうまくいかなかった。それでも本番までには弾けるようになり、よく頑張ったと感心した。

講師たちや東京からの参加者が宿泊したのは宇部ときわ湖畔ユースホステル。
黄色いコスモスが咲き乱れ、美しい湖が広がっていた。


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シューマンのピアノ四重奏曲

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ベートーヴェンの弦楽四重奏曲、それも難しい後期の曲

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シューベルトの「鱒」

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シューベルトのおとぎの絵本。桜庭先生が弾くと本当に演歌のように麗しい。

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演奏会の最後の曲。講師によるベートーヴェンのピアノ三重奏曲作品70-1

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