10月10日(土)午後2時より日本フィルハーモニー交響楽団宇部公演が宇部市の渡辺翁記念会館にて開催された。
宇部興産グループのチャリティーコンサートとして毎年催されるこの演奏会は今回8回目。
石炭産業から起こり現在では様々な分野の製品を作り出している宇部興産。創業者は宇部の人であり、宇部市と密接につながり合って発展してきた会社ならではの、宇部のまちに社会的に貢献するという姿勢のもとでこのコンサートは始められた。チケットの売り上げは全額寄付。その中には市内の中学校に楽器を寄贈することなども含まれる。
これだけ地域に根付いている会社は日本中あまり例がないだろう。
岩国にも東洋紡など様々な会社があるが、皆誘致によってそこにある会社で、その利益を地域に還元しようとするような姿勢はない。
また、宇部には戦後間もない頃から、宇部興産副社長だった俵田寛夫氏が私財を投げ打って、世界的に有名なシゲティ、コルトーなどを招聘し、広く市民もそれを享受していた歴史がある。それが現在まで市民のDNAの中に生きているような感じがする。
宇部興産とて、日本の会社の中でとりわけ業績の良いという程でもない。それにもかかわらず、文化を大切に育てようというこの企画は、市民に非常に喜ばれている。毎回、満席になるということにもそれは表れている。

今回は指揮に国内外で活躍中の飯森範親さん、ヴァイオリンのソリストに若手有望格の尾池亜美さんを招いて、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲と交響曲第3番「英雄」が演奏された。どちらも50分近くかかる大曲。演奏の前には指揮者とソリストによる曲についてのお話しなどがあり、大曲への理解を深めた。

翌11日(日)には、日本フィル管楽器奏者によるクリニックや、クリニックに参加した生徒も交えての演奏会がアクトビレッジおので、また、山口大医学部付属病院や宇部興産中央病院のロビーでは弦楽四重奏のふれあいコンサートが開催された。入院患者さんや看護師さん、教授その他大勢の方が聴きに来られた。中央病院では石井が率いる常盤湖畔室内合奏団の演奏もあり、子供たちが可愛いドレスを着て立派に演奏する姿に賞賛の声があがった。

コスモスが咲き乱れ、風に揺れて、気持ちのいい2日間だった。

宇部公演開場
1時20分の開場時間にはたくさんの人が列を作っていた
開演前トーク
飯森さんと尾池さんのトーク。左の人は手話をする人。
いよいよ開演
いよいよ開演、コンマスは木野雅之氏。
山大病院ロビ-コンサート
開演前いろいろな方が集まって来られる山大付属病院のロビー
石井カルテット
石井カルテットによる演奏

コスモス