11月7日(金)午後7時より宇部市の渡辺翁記念会館にて石井啓一郎宇部デビュー40周年記念演奏会が開かれた。
宇部育ちの石井啓一郎は子供の頃からこのホールの舞台には何度も立っているが、1974年5月11日、私たちがドイツに留学する直前に壮行会的な演奏会をここで開いた。俵田寛夫氏が石井啓一郎後援会を立ち上げて下さり、それが主催した。前半はベートーヴェンのスプリングソナタとブラームスの第1番のソナタ、後半は宇部管弦楽団との共演でバッハのブランデンブルク4番とモーツアルトのヴァイオリンコンチェルト3番を弾いた。初めての宇部での本格的な演奏会だった。
それからちょうど40年を経て今回の企画となった。
宇部にジュニアオケを作って欲しいという地元の熱い希望があり、冒頭に小学2年生や3年生を含む子供たちと大人との合奏でモーツァルトのディベルティメント、その後ヴァイオリンとピアノでエルガーのソナタとチゴイネルワイゼン、後半はラフマニノフのピアノ三重奏曲。大変バラエティに富んだプログラムだった。チェロは桜庭茂樹氏にお願いした。主催は記念演奏会実行委員会、共催に宇部市の文化創造財団がなってくれたのでホール代は免除、チラシ・チケットの作成や配布などいろいろやってくれたので助かった。実行委員の人達も頑張ってくれてお蔭様でお客様は600人くらい、45分もかかるラフマニノフをじっと聴き入っていた。小学生は無料、高校生は1000円だったので子供もだいぶいたと思うのに不思議なくらい静かだった。後で聞いたのだが、4歳の子供と一緒だった父親は子供が珍しくおとなしく聞いていたと話していた。音楽のなせる力だろうか。

終演後の打ち上げは明徳という格式のある料亭で、宇部市長、宇部興産相談役、宇部日報社長、岩国の酒井酒造会長、宇部市民オケ後援会会長、創造財団理事・・・とそうそうたるメンバーが集まり、記念演奏会実行委員とも和やかに話が弾んだ。
今回の演奏会で良かったと感じたのは、ジュニアオケの第一歩が踏み出せたこと。
何回かの練習で皆とても上達し、音もまとまっていた。専門家にならなくても、こうしてみんなで一緒に音楽をして楽しめたら、きっと素敵な人生になると思う。まともな大人になって日本を引っ張って行って欲しい。