桜が誰もいなくなった病院跡を見事に埋め尽くしている。

昭和17年に岩国海軍病院としてできたこの病院は、戦前は今より敷地もかなり広く、結核の隔離病棟もあったと聞く。終戦とともに国立岩国病院―国病(こくびょう)と呼ばれて親しまれていた―として県東部地域の中心的な医療活動を担っていた。しかし、老朽化が進み、今年3月末に市内の愛宕山地区に地上10階建て、ヘリポートもある立派な病院を建ててそこに移転した。500以上あるベットの四分の一は個室、最新式の機器も導入して、更に上の医療活動を始めた。以前から同じ敷地内にあった看護学校や宿舎も同時に移転し、宿舎はホテルのようだとか。

病院の引越は徐々に少しずつではなく、3月24日(日)一日で全ての機械と患者さん達を移動させるというので、当日はどんなにかこの辺りの道路が混雑するかと思い、自分の出かける約束を変更したりした。岩国市中の救急車が集まり、道路の信号機ごとにおまわりさんが立って、救急車が来るたびに信号を青にして通したそうだ。
引越の翌日から新病院はもう通常通りの仕事を始めている。
大したものだ。

そんなわけで、この広大な敷地に誰もいなくなった。
広い駐車場にも車が一台も停まっていない。
これから先、ここはどうなるのだろう。


病院正門
病院正門

病棟
病棟

隔離病棟跡

桜のトンネル

菜の花とともに

川べり