この辺りにはまむしが生息している。
暖かくなってくると湿っぽい所や道端で時々遭遇することがある。すぐに飛びかかってきたりすることはないようだが、咬まれたら大変。

ずっと前に焼酎に漬けたのをもらったことがあって、火傷などによく効く薬として使っていた。
石井が宏樹庵に移ってきてから、それを飲むようになった。飲むと身体が熱くなって良いと、その頃腰が相当悪かった彼は喜んで飲んだ。私の母にも薦めた。母はこんなにくさいもの・・と嫌がるかと思ったが、身体に効きそうなものは何でも飲む彼女はまむし酒も飲むようになった。二人で飲むので一升瓶のまむし酒はやがて無くなった。母は次のが欲しいと言う。

それを聞いたスタッフの一人が、今、まむしを採ったと一升瓶を持って来た。水が入っているが、まむしはまだ生きている。頭をもたげて今にも飛び出しそうだ。

この時期、まむしは攻撃的になっているので、頭をコツンとすれば、そばにあるバイクなどに飛びかかろうと身構えて、その間に一升瓶などを取りに帰っても、戻ってくるまでそこを動かないそうだ。そこで、戻って一升瓶を見せると自分でその中に入り、すかさず網などで口をふさぎ、水を入れる。
この状態で持ってきてくれた。

これから1週間から10日間、毎日水を取り替えて、まむしの体の中がきれいになるのを待つ。
10日程経った頃、別のスタッフ二人が来て、焼酎の入れ方を教えてくれた。
まず、水を捨てる。
じょうごの穴の比較的狭いものを瓶の口にしっかり入れ(穴が大きいとまむしが飛び出すらしい)、焼酎を注ぐ。
焼酎は何でも良いそうだが、度数が低いと腐り易いので35度以上ある沖縄の焼酎などいくつかをブレンドして入れた。次第にぶくぶくと泡を出して沈んでいく。
あとは日陰に何ヶ月か置いておけば出来上がりだそうだ。

石井は今年の2月、腰の状態が最悪だった。ディナーコンサートの時は立って演奏できなかった。
医者にオパルモンという薬と血圧を下げる薬をもらって飲み始めた。脚の筋力体操も毎日やっている。暖かくなるにつれ、だいぶよくなった。6月のリサイタルの時は立って弾けた。畑の作業もやる。
しかし、脚全体がしびれていると言う。
今度、病院でMRIの診断を受けてみようかと思っている。


瓶の中のまむし
瓶の中のまむし。まだ動いている。

水の取替え
毎日水を取り替える


一升瓶の口をじょうごでふさぐ。スタッフの真剣な顔!


焼酎の注入。合掌。