宏二郎展が横浜市青葉区のたまプラーザで11月25日から12月1日まで開かれている。
毎年秋に開催されるここでの個展は今回で5回目。
青い色を主調にした夜明けの湖の絵を中心に、いつもの影、空の絵など24点が並んでいる。知り合いの人たちのほかに、ここはデパートなので買い物に来た人がふらりと立ち寄ったり、このギャラリーにいつも来る人が来たり、人数は少ないが、来た人の中には、何かがその人の琴線に触れたのか、涙まで見せる人もいたとか。世の中の喧騒をよそに、ここの空間だけは静まり返っている。

宏二郎は最近悩んでいる。
生活のためには絵が売れなければならないし、売れる絵と自分が本当に描きたい絵とは必ずしも一致しないと思う。
いつまでも親の援助のもとでは描きたくないともずっと思っていたらしい。
ついに、この12月初めに独立することになった。
東京小平の今の家の近くではあるが、一軒家を借りて自立すると言う。働いて稼ぐ当てはまだ見つかっていない。蓄えもあまり無い中で見切り発車的に決めた。
死ぬようなことはないだろうが、自分が本当に描きたい絵を描いてほしいと願っている親としては少々不安。でも口出しはすまい。

枇杷の花がたくさん咲いている。
花としては特に美しくはないが、この花は自分がやがておいしい実になることを知っているのだろう。目立たないのに、何か自信ありげだ。
宏二郎も今はこの花のように目立たないが、いつの日か枇杷の実のようにたくさん熟れて、みんなを喜ばすことができますように。

    わが刻を今日はわが持つ枇杷の花




枇杷の花