11月17日から3日間豊岡市交流センター稽古堂にて開かれていた墨と彩の響流展(すみとあやのこうるてん)その2in豊岡が無事終了した。
宇部で2016年3月に開催した響流展が大変好評だったので第2弾として豊岡での開催を母に打診したのが2016年秋。乗り気になった母はそれから豊岡にちなんだ俳句や歌を探していくつもの新作に取り組んだ。会場選びは私に任され、私は地元の方の意見を聞いたりネットで情報を集めたりして結局稽古堂に決定。稽古堂というのは但馬地方の藩校の名前で、1925年豊岡が大震災にあった直後に建てられた市役所の建物を何年か前リニューアルした際に名付けられた。
15日に母とスタッフ2名と私は豊岡入りし、16日午前中から会場準備に取り掛かった。地元の実行委員の方々が重い椅子や机などを運び出してくれて大変助かった。午後からは展示の専門家や宏二郎も来て本格的な展示が始まる。うまくすべての作品が収まって、花も活けられ、翌日の開場を迎えられるようにするのに6時過ぎまでかかった。書だけの展覧会と違い、色彩が入るので会場全体が暖かい柔らかな感じになった。宏二郎は母の書の影響を受けて今のような画風になったわけではないが、ろうそくや影など静かな中に何かを秘めている絵は書と並べると相乗効果を生むような気がする。また、このたびのコラボ作品は5点、母の書いた蕪村の新年と四季の句に宏二郎が水彩色鉛筆で絵を添えている。年齢差50、キャリアの違いの大きさを感じさせない作品群となった。
この辺りのお天気は晴れていても急に雨が降り出したりするのが常だそうで、「弁当を忘れても傘を忘れるな」と言われるほどだ。3日目は雪が降るかもしれないとの予報。結局降らなかったけれど寒かった。そんな中、来て下さった方々は大変感激し、「絵を見てこんなに心が揺さぶられたのは初めてです。」と涙を浮かべる人もいた。母の選んだ句の中に京極き陽というこの地方のお殿様の句が3句あったが、その京極さんの下でお母様が俳句を勉強していらしたという方が、母の書いた句と同じ句を京極さんご自身が書かれた掛け軸などを持ってきてくださって拝見した。最近の俳人の書はあまり上手でないらしいが、京極さんの字は俳人らしい穏やかな字で、母も大変良いと言っていた。一度見にいらした方がもう一度、今度はお友達をたくさん連れていらしたり、累計で300人余りのご来場となった。
最終日、19日6時半からの撤去作業も地元の方々の力が大変大きかった。
20日午前11時前の電車で母を連れて東京に戻った。
まん中の軸は京極さんの句
野菊にも雨ふりがちの但馬住
青い絵のこちら側の5点が母と宏二郎のコラボ作品群
右の書が京極さんの句
おもむろに晴れあがりたる雪山河
真ん中のと左のは豊岡にある植村直己冒険館を母が訪れたときの句
昏れそめていてふ降りつぐ直己館
落葉敷く直己の館クレパスに
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