1月12日(木)午後7時より東京文化会館小ホールにて石井啓子アンサンブルシリーズⅩⅩⅩⅡが開催された。
クーラウのフルートとチェロとピアノによる協奏的三重奏曲作品119、メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲1番と2番というプログラム。これは本来昨年1月28日に演奏される予定だったのが出来なくて今回に至った演奏会。未だにコロナは収まらず、その上インフルエンザも流行して世の中がちっとも落ち着かない状況なのだが、人それぞれにとらえ方はまちまちで、お客様も300人ほど集まって下さった。
クーラウは譜面上は技術的にそれ程高度ではないのだが、とても弾きにくい箇所があったり何とはなしに弾くだけでは何の面白味もなかったり、難しかった。陽子は天性の歌心で演奏し、桜庭さんはとても難しい音の並びも彼の技でクリアし、私はとにかく二人に乗って楽しく弾くことを心掛けた。
メンデルスゾーンの三重奏1番はあまりにも有名な曲で、誰でもが弾いてみたい曲なのだが、CDのどれを聴いても私は満足がいかず、自分流に弾いてみようと思った。それがすべて上手く弾けたかどうかはわからないが。
2番は部分的に、あるいは全曲、一応人前では弾いたし、曲の流れには安心感があった。
当日聴きに来てくれた批評家の一人が自身のブログに「ピアノが非常に音楽的で、自ら感じた音楽の道筋を起伏豊かに表現している」と書いて下さった。が、私としては共演者の力によって私の演奏は成り立っていると思っている。
お客様からは「2年分の想いが伝わりました」「ピアノの柔らかいタッチやチェロの情感のこもった低い歌声、ヴァイオリンの独特な節回しなどが一つになって心地よい諧調に耳も心も委ねられた」などの感想が寄せられた。私の演奏会、6月のリサイタルも同じだが、この演奏会に来れば久しぶりにあの人に会えるという期待感で来るお客さまが多い。演奏の心地よさの他にもそういった人とのつながりが感じられる演奏会。これも長年続けている宝物かもしれない。

アンサンブルシリーズⅩⅩⅩⅡ-1
終演後楽屋で陽子と

アンサンブルシリーズⅩⅩⅩⅡ-2
演奏者全員集合  みんな頑張ったね、ありがとう!