4月2日(土)午後2時よりシンフォニア岩国多目的ホールにて石井啓一郎ファミリーコンサートが開催された。
このコンサートも2002年に始まり、ちょうど20年が過ぎた。コロナで様々な企画が中止や延期を余儀なくされる中、奇跡的に開催は途切れることなく続いた。しかし客足は減り、運営する啓&啓倶楽部のスタッフも高齢化した。
割り切れる答えばかりが求められ、何色なのか解らないような曖昧な所は敬遠される世相の今、生の音楽の持つ力が求められている。機械を通してではない生身の音楽は五感で感じられて人を感動させる。心が動く。その事を大切に啓&啓倶楽部の活動は続けられている。
今回のプログラムは石井啓一郎、石井陽子、石井啓子の3人による愛のあいさつで始まり、前半はモーツァルトとベートーヴェンのヴァイオリンとピアノのためのソナタ、後半はフルートソロの福島和夫作曲「冥」、ピアノが加わって「ふるさとによるポエム」、次にいつもはヴァイオリンとピアノで演奏しているカナリアを3人で。そしてスコットの蓮の国、チゴイネルワイゼンと続いた。
お客さんは100人ほど。多目的ホール全体にバランスよく座ってくれたので淋しい感じではなかった。石井啓一郎のトークにも素直に反応し暖かい雰囲気だ。
「冥」は現存する日本の作曲家がドイツのダルムシュタット現代音楽祭で一緒だった同胞を偲んで書いた曲で尺八のような音が出る。初めてこのような音楽に触れたお客さんはびっくりしたようだった。アンケートには「岩国の春の楽しみは桜とファミリーコンサートです。」と書いて下さった方もいた。

愛のあいさつ2

愛のあいさつ
冥
鬼気迫る「冥」

楽屋で
終演後、楽屋にて