私の母は現役の書家。現在94歳。かな分野の重鎮、仲田幹一氏に永年師事し、師亡き後も会を背負っていろいろと活躍、大きな賞も頂き、皇族方のご高覧も拝している。
書は子供の頃から習っていて、子育て時期を除いてはほぼ一貫して続いた。一方、やはり子供の時始めたピアノは結婚して私が生まれる直前まで弾いていたが、私が生まれてからは一切ピアノに触れることはなかった。
それが、昨年の冬の初めころから再びピアノを弾き始めた。―——
実家には母が子供の時親に買ってもらった昭和初期製のヤマハのピアノが置かれていた。
もう古くてヤマハの人に頼んでも調律はお手上げと言われた。それを、ひょんな事で知り合った調律師さんが昨年の2月、根気よく何とか弾けるくらいにまで直してくれた。
夏は大変暑くて一時体調を崩していた母が、涼しくなって、私が実家で練習しているのを聴いて、私もちょっと弾いてみようかしらと言い出した。ベートーヴェンのトルコ行進曲やエリーゼのために等の楽譜を渡すとぼちぼち譜読みを始めた。70年余りも全く弾いていないのに、易しい譜面なら読めて、指も何とか動いた。エリーゼのためにが弾けるようになって、次に勧めたのがリヒナーの忘れな草。これは全然知らない曲だったが、私が弾いてみせると、きれいな曲ね、と気に入ったようだった。
そこで、楽しく始めたピアノが続くように、元旦に家族が集まった時、みんなでホームコンサートを開いてみようと思いついた。私の妹も昔弾いていたヴァイオリンを最近また始めたようだし、孫たちにもそれぞれ弾かせよう。
そう決めて母に伝えると、母は俄然積極的に練習に打ち込んだ。ふだん腰が痛いだの、首が痛いだの言っているので、あまり根を詰めて練習したらダメと私が忠告するのだが、人前で弾くことにこだわりがあった。でも心配する程長い時間練習していても、その間は不思議なことに腰が痛くならなかった。
晴香と絢香のお蔭で楽しい元旦コンサートのプログラムが出来上がった。
そして2022年元旦を迎える。
開演午後3時半。まず晴香と石井でモーツァルトのアイネ クライネ ナハトムジークの1楽章。次に一青がバッハのメヌエットとフランス民謡 アヴィニヨンの橋の上で を上手に弾く。さて次が母。ちょっと緊張した面持ちだったが、弾き始めると美しいメロディを心で感じ、また少したたみかけるような所もあり、大変音楽的表情豊かに弾き終えた。拍手喝采!!!
あとの子供たちも、妹もとても上手に弾けた。プログラムはそれで終わりと思っていたのだが、皆の要望でアンコールとして私達も愛の喜びなどを弾いた。
母は自分の演奏にある程度満足して、ピアノを続ける気になっている。
毎年恒例になりそうな予感。
いいお正月だった。
一青の演奏
母の演奏
書は子供の頃から習っていて、子育て時期を除いてはほぼ一貫して続いた。一方、やはり子供の時始めたピアノは結婚して私が生まれる直前まで弾いていたが、私が生まれてからは一切ピアノに触れることはなかった。
それが、昨年の冬の初めころから再びピアノを弾き始めた。―——
実家には母が子供の時親に買ってもらった昭和初期製のヤマハのピアノが置かれていた。
もう古くてヤマハの人に頼んでも調律はお手上げと言われた。それを、ひょんな事で知り合った調律師さんが昨年の2月、根気よく何とか弾けるくらいにまで直してくれた。
夏は大変暑くて一時体調を崩していた母が、涼しくなって、私が実家で練習しているのを聴いて、私もちょっと弾いてみようかしらと言い出した。ベートーヴェンのトルコ行進曲やエリーゼのために等の楽譜を渡すとぼちぼち譜読みを始めた。70年余りも全く弾いていないのに、易しい譜面なら読めて、指も何とか動いた。エリーゼのためにが弾けるようになって、次に勧めたのがリヒナーの忘れな草。これは全然知らない曲だったが、私が弾いてみせると、きれいな曲ね、と気に入ったようだった。
そこで、楽しく始めたピアノが続くように、元旦に家族が集まった時、みんなでホームコンサートを開いてみようと思いついた。私の妹も昔弾いていたヴァイオリンを最近また始めたようだし、孫たちにもそれぞれ弾かせよう。
そう決めて母に伝えると、母は俄然積極的に練習に打ち込んだ。ふだん腰が痛いだの、首が痛いだの言っているので、あまり根を詰めて練習したらダメと私が忠告するのだが、人前で弾くことにこだわりがあった。でも心配する程長い時間練習していても、その間は不思議なことに腰が痛くならなかった。
晴香と絢香のお蔭で楽しい元旦コンサートのプログラムが出来上がった。
そして2022年元旦を迎える。
開演午後3時半。まず晴香と石井でモーツァルトのアイネ クライネ ナハトムジークの1楽章。次に一青がバッハのメヌエットとフランス民謡 アヴィニヨンの橋の上で を上手に弾く。さて次が母。ちょっと緊張した面持ちだったが、弾き始めると美しいメロディを心で感じ、また少したたみかけるような所もあり、大変音楽的表情豊かに弾き終えた。拍手喝采!!!
あとの子供たちも、妹もとても上手に弾けた。プログラムはそれで終わりと思っていたのだが、皆の要望でアンコールとして私達も愛の喜びなどを弾いた。
母は自分の演奏にある程度満足して、ピアノを続ける気になっている。
毎年恒例になりそうな予感。
いいお正月だった。
一青の演奏
母の演奏
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