昨年6月30日宏二郎展に合わせて波佐見から7人の方々が来訪した。日本フィル波佐見支部のメンバーだった。
ゆっくり絵を見ていただいて、その後宏樹庵でお茶を飲みながら歓談、夜も岩国市内の居酒屋で懇親会が設けられた。そこで波佐見での私達の演奏会が提案され、今年の10月の開催が決まった。
それから1年。夏の終わりには素敵なチラシが出来上がり、日本フィルの九州各地の実行委員会その他に配られ、チケット販売が始まった。
そして迎えた10月19日の本番。昼の公演だったので私達は前日に波佐見入りした。着いた時は真っ暗で何も見えなかったが、朝起きてみたらホテルの窓からは既に刈り入れが終わった田んぼが広がっていて気持ちよかった。
演奏会場は昭和12年に建てられ小学校の講堂などとして使われていた建物を近年修理した場所。古い木造建築だがとても立派だった。午前中会場練習してみると、大変音響がよく、古い木材だからこその柔らかい豊かな響きでびっくりする程だった。
14時開演。シューマンのロマンスを皮切りにブラームスのヴァイオリンとピアノのためのソナタ第3番、休憩を挟んで外山雄三の山口民謡、サラサーテのプレイエラ、バスク奇想曲、チゴイネルワイゼンなどが次々と、話も交えながら続いた。
何十年も前に訪れた長崎川棚のM氏が来てくれて、あの時は伊藤静雄の話で弾んだことを思い出して懐かしかった。
翌20日の朝、少しだけ時間があったので、波佐見焼の窯元が集まっている集落と、その反対側の鬼木棚田を見に行った。日本の田舎、どこの地域も高齢化で人口が減っているのに、この地域は人口も減らず、むしろ若い人たちが移り住んできているとのこと。波佐見焼の特徴は古くから何代も続いている窯元があるわけではなく、若い人が自由に作陶できること。それに町全体が分業になっていて土をこねる人と絵付けをする人など、町全体で器を作っていく仕組みになっているそうだ。作品も何万円もする美術品ではなく、江戸時代から、丈夫で割れにくく手ごろな価格で手に入れることのできる器として親しまれてきた。時代に合わせて変化しつつある活気も感じだ。日本フィルの波佐見支部のメンバーにも若い人が何人かいた。また訪れたい町の一つとなった。
20日の夜は八女市の明永寺中庭ホールでの演奏会。
4時くらいに行けば会場練習できるのかと思っていたが、突然の法事が入り5時過ぎまで使えなかった。
岩国を出る時はとても寒かったので中庭となると風が冷たかったらドレスは袖がないしどうしようかと心配したがとても良いお天気で夕焼けもきれいだった。普段は法事などに使う部屋を演奏会場として能舞台のようにしつらえてあって、夜風を感じながら演奏するのは初めてだったが好評だった。
21日は田川の添田駅の近くの100人弱のホール。満席だった。
前座にオカリナの合奏もあり、気分がほぐれたところで私達は80分ほど演奏。間近で聴く演奏に皆感激していた。生きていく力をもらいましたと言われて嬉しかった。
演奏会場となった波佐見講堂
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明永寺中庭ホール
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会場練習が終わるころ空は夕焼けに
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本番
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添田のホールに集まって下さった方々と
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