2026年05月

5月27日。この日は55回目の結婚記念日だった。
大学を卒業してすぐの結婚。これに至るまでには親の猛反対があった。なにしろ若かったので、私の親は、そんな音楽家同士の結婚なんてすぐに飽きられて捨てられるに決まっていると言っていた。石井の両親が私の抜き差しならない気持ちを察して、父親が私の父の所に説得に来てくれた。それでようやく結婚にたどり着いて、狭いけれど格調の高いホールで、二人で考えた人前結婚式を挙げた。それから私は大学院に通い、石井は闘争が始まったばかりの日本フィルに翌年飛び込み、忙しかった。大学院を卒業して二人でミュンヘンに行き、そこで長男が生まれた。留学3年目、二人目を身ごもったところで帰国、宇部で次男を出産した。東京に戻って、石井は争議真っ最中の日本フィルで中心になって活動する。大変忙しくて家にいる時間はほどんど無く、母子家庭かと思われるほどだったが、すぐに3人目も生まれて私は子育てに忙しかった。
お互いに忙しかったが、帰国してすぐの1977年に始めたヴァイオリンリサイタルは毎年新しいプログラムでずっと続けた。2020年コロナのために会館が閉まって実施できなかった年を除いて、毎年どんなに忙しくても休むことなく続けた。
今年で48回目。詩は昔から好きだったが、最近は倍賞千恵子の歌、特に谷川俊太郎の詩に武満徹がメロディを付けた「死んだ男の残したものは」が気に入って毎日聴いていた。頼まれた演奏会でもそれをよく弾いた。ウクライナやイランの戦争、そして危なっかしい今の政権を憂いて、平和を自分の音楽の柱にしようと言っていた。
今年のリサイタルのメインの曲はプーランクの「ロルカの追憶」 これもフランコ政権に異を唱えていたスペインの詩人、ガルシア・ロルカが銃殺されてしまったことを悼んで書かれた曲。5月28日京都、6月6日宇部、6月11日東京で準備を進めていた。
5月19日もいつものように夜遅くまで二人で仕上げの練習に余念がなかった。

しかし-----------------

20日朝、布団から起きてこれなかった!!!!

子ども達がすぐに駆けつけてくれた。布団に眠っている顔は本当にそのうちに起きてくるのではと思うような静かな顔だったので、私はずっとここで眠っていてほしいと思ったが、現実はそうもいかず、葬儀への準備が始められた。私の中では時間が止まっているのに、外側だけがどんどん過ぎていく感じだった。そして葬儀は23日24日に近親者のみで自宅でということだったが、思いがけない人も遠くから駆けつけて下さって、無事に執り行われた。
そして、静かになった5月27日、なんと娘が、
「はい! パパに言われて買ってきたよ。」
と真っ赤なバラの花1本を私にくれた。結婚記念日を覚えていてくれたのだった。
本来なら石井と二人でお祝いするのに。いつも1本の赤いバラの花で。
もう触ることが出来なくなってしまったけど、ずっとそばにいてほしい。ずっと。


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5月3日と4日に岩国市黒磯の自治会館、そして新しくオープンした黒磯の学びといこいの交流テラスにてミュージックキャンプのレッスンが行われ、最終日の5日由宇文化会館にてその成果発表会である散歩がてらのコンサートが開かれた。
2000年に始めたこの企画に長年参加している人は、初めは小学生だったが今では大学生、社会人、また母となって子供と一緒に参加してくれたり、また、最近は地元の小学生が参加してくれるようになり、いろいろな年代の人が一緒に演奏して楽しむ姿にはとてもやりがいを感じる。
この企画はよくある一定以上のレベルの人のための講習会ではなく、誰でも参加できて、また、レッスン以外にバーベキューあり、手作りピザやサンドイッチあり、かがり火もあり、人との会話や多岐に亘る話題も大切にしている。もちろんレッスンは厳しく、たった二日間の間に参加者は見違えるほど上手になる。
今回はコントラバスの参加者がいたのでレスピーギの9人の奏者による弦楽合奏もあり重厚な音を奏でていた。いつものピアノ三重奏、弦楽四重奏に加えて今回は晴香がユーフォニアムで初参加、ピアノは絢香で1日目のレッスンではどうなるか心配したが本番では見事に良くなり楽しませてくれた。日本フィルの元トロンボーン奏者が初めて来てくれて丁寧なレッスンで貴重な体験となった。
朝食は地元のお米3升と京都のお漬物、晴香が近くの川で採って来てくれたクレソンのサラダ。昼は石井が4日間も豚やトリの骨と野菜を煮込んで作ったカレー、みんなでトッピングして宏二郎が焼く石窯ピザや、宏二郎が日本製の小麦粉で焼いたパン53個に自家製のトリハムを挟んだサンドイッチ、夜はバーベキューなど贅沢すぎる食事。みんな楽しんでいた。
そして、終わってみんなが帰った後、布団干しやゴミの片づけなど私が一人でやらなければならなくてとても大変だったが、今回は陽子と晴香たちが残ってくれて助かった。ミュージックキャンプ全体の運営もだんだん若い世代の人たちで出来るようになると良いなと思った。

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交流テラスでのレッスン風景 一青はこのシューベルト「死と乙女」の他に3曲も担当

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一青の個人レッスンでは桜庭先生がピアノを弾いて下さった!

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トロンボーン奏者の伊波さん お世話になりました!

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宏樹庵では自主練習

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石窯で焼いたピザは皮がパリパリ!

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このパンが美味しくて買って帰りたいと言う人もいた

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みんなでピザのトッピング、これも楽しい

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ピザ職人

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トレーからはみ出す大きさの鯛のアクアパッツァ

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アクアパッツァのスープで作ったパスタ。これも絶妙な味でとても美味しかった

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今年は風が強くてかがり火は無理かなと思っていたが、何とか風が収まっていつものように

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地元の子ども(小学2年と3年生)の二重奏 とっても楽しそうに弾いていた

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ユーフォニアムとフルートとピアノの三重奏「風の舞」

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シューベルト「死と乙女」ヴィオラは2000年のミュージックキャンプ参加者

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今回のプログラムの最後は陽子と重見、沓内によるミヨーの組曲








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