地球はもう壊れ始めていると感じたほどの残暑の厳しさもようやくおさまったようだ。
 ここ2、3日で最低気温が一気に10度代に下がり、夜は布団がないと寒いくらいになった。
 本当にこの夏は異常気象だった。
 7月12日に宏樹庵に帰ってきて翌日大雨。宏樹庵の初めての雨漏りに慌てたが、宏樹庵のすぐ向こうの斜面がくずれて、今まで何百年も親しまれてきた湧き水が無くなってしまった。
 竹やぶがあったのでくずれるはずはないのだが、竹、それも大きな孟宗竹ごと、ごっそりくずれた。でも、竹のお陰と皆は言う。その先には川があり、田んぼがあったのだが、竹がまず何本も倒れて川に橋をかけた状態になり、その上に土砂が積もったのだそうだ。だから、川は堰き止められずに、田んぼの被害も最小限だったとのこと。今でも恐ろしい程の形相をして崖はむき出しのままだが、稲は早、穂をたれている。
 宏樹庵の雨漏りの後、原因を調べてもらって、多分天窓のところだろうと言うことで修理を頼んだが、瓦屋さんは大雨の被害があちこちにあり仕事がいっぱいでなかなか来てくれなかった。何日も待ってようやく来て直してくれた。しかし、その後も何日も何日も雨が降らないので、果たして天窓が原因だっかどうか解からず仕舞い。石碑のまわりのリュウノヒゲも夏椿も毎日かんかん照りだったので茶色に枯れかけてしまった。周防大島のみかんの被害も報じられている。
 8月の日本の平均気温は観測が始まって以来113年間で最高だったそうだ。そして夜の気温が下がらないのが特徴で、下関では連続熱帯夜が51日を記録したと言う。台風が来ても九州や四国に上陸せず朝鮮半島の方に行ってしまう。さんまなどの魚も海水温が高いので大変な不漁だそうだ。反面、萩など日本海側ではいつもは多くない鰹の豊漁にわいているとか。
 人間の営みの悪影響が確実に現れ始めている。

 稲の実りはありがたい。稲刈りは10月初めだそうだ。
 自然はもともとは、人間の力の届く所ではない、もっと大きな力で動いていることも実感する。


がけくずれ
がけくずれの跡。風が吹くとまだ土が舞う。落ちた土砂は市が隣りの土地にきれいに整地してくれた。

穂をたれた稲
穂をたれた稲。今年のお米の味はどうだろうか。


 増渕晴香 石井陽子(本名 増渕陽子)の長女 1歳4ヶ月。
生まれてこのかた、まだ一度も熱を出したことがない。人見知りもするが、大丈夫だと思った人には大変愛想が良い。
時代劇大好きな石井啓一郎は、自分のことを「おじいちゃん」とか「ジイジ」などと呼ばせずに「大御所様」と呼ばせたくて、今はまだ難しいので「ゴショサマ」と言って自分をアッピールしている。

その「ゴショサマ」と一緒に晴香は初めて寂地峡に行った。
寂地峡は山口県と広島県と島根県の県境に近く、連なった5つの滝で有名なキャンプ場。私たちのお気に入りの場所で、昨年もオーケストラの仲間何人かと一緒に行った。
火をおこすのが好きな石井は着くとすぐ取りかかって、やがて炎が上るくらい炭がおこってきて、お肉などを焼き始める。野菜も大変おいしく焼けた。晴香は川で冷やしたトマトを豪快に丸かじり。
お腹がいっぱいになったら今度は川遊び。ここの川の水は大変冷たい。初め、お手々でビシャビシャするくらいだった晴香もだんだん大胆になってきて、川の中に入れるようになった。でもまだ顔に水がかかるのが苦手で、ゴショサマがざぶんと水をかけようとすると逃げる。滝の近くにも行ってみた。今年は日照りで水量が少なく、滝も前より勢いがなかったが、初めて見る滝に晴香は不思議そうに見入っていた。

帰ろうとしていた矢先に夕立が来た。
私たちは流し場に避難したが、クーラーボックスやバーベキューのコンロなどびしょぬれになった。
やっと雨が小降りになって、荷物を車に積んで岐路につく。
日照り続きだった道からは、今の雨が湯気になって立ち昇っていた。



火をおこす石井啓一郎


トマトを丸かじり 1つを全部食べてもう1つおねだり


ゴショサマと川遊び


滝の近くまで行く



 8月24日(火)午後7時からシンフォニア岩国多目的ホールにて9回目となる啓&啓倶楽部主催の演奏会が開かれた。

第1回目は2002年8月、石井啓一郎啓子演奏活動25周年を記念してシンフォニア岩国大ホールにて開催された。あの時は何かうねりのようなものに後押しされて、800人ものお客様が集まってくださった。
それから毎年演奏会を重ねるようになって、読売新聞、中国新聞、日刊岩国各紙が取り上げてくれたが、今年はいろいろな要素が重なって特に集客が難しかったそうだ。しかし、130人ほどの方々がいらして下さった。
「なかなか出かけられないけど、来てみたら大変良くって、また来年も是非来たいと思いました。」
と、帰りがけに声をかけて下さったお客様もいらした。

プログラムは、エルガーの「愛のあいさつ」で始まって、ヴァイオリンとフルートでミヨーの「2つの歌」、フルートとピアノでプーランク「フルートソナタ」、プッチーニのアリア「私のお父さん」、休憩を挟んでヴァイオリンとピアノでシューベルトのソナタ、ユーモレスク、タイスの瞑想曲、浜辺の歌、出船、そして今年生誕200年になるシューマンの「ヴァイオリンソナタ第2番」より第1、2楽章、最後はいつもの「チゴイネルワイゼン」で締めくくった。暖かい拍手はやがて手拍子に変わって、アンコールはカナリア、愛の喜び。
今年は、馴染みのある曲目をとの要望からユーモレスクやタイスの瞑想曲などを入れたが、アンケートによると誰でも知っているそれらの曲に特に票が集まったわけではなく、むしろシューマンやプーランクといったシリアスな曲目に票が多かったのが印象的だった。

今回陽子は、子連れで演奏会に臨んだが、子供は楽屋でモニターテレビを見ながら踊ったり、一緒に手を叩いたりしていたそうだ。


受付風景
受付風景

演奏
アンコール曲「愛の喜び」

終演後
終演後、ホールロビーにてお客さんと


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