その土地は、宏樹庵の竹やぶの間の小径を出たところの道をずっと上がって行って徒歩10分位のところにある。



何軒かの家が無くなるとみかん畑や棚田があり、その上には昔は田んぼだったのだろうけれど誰の手も入らなくなって何年も経ち、くずの葉に埋め尽くされてしまった土地が広がる。道の脇には川があり、梅雨の雨を集めて、小さい川なのにざあざあと大きな音を立てて流れている。



その土地まで来ると、少し上に道路があり、道路の上側には集落がある。土地のすぐ下は蓮田で、年老いた夫婦が丹精込めて蓮根を作っている。今、白い花が咲き始めた。遠くに瀬戸内海が見渡せる。梅雨のぼんやりした海だが、兜島と大黒髪島が正面に見えた。



草はすぐ伸びる。4月に二人で何日かかけて草刈りをした場所なのだが、3か月も経つと、そんな形跡はあとかたもなく、草は身の丈程にも伸びて土地を覆っていた。



雨の多い今年の梅雨だが、昨日と今日は雨が降っていなかったので、二人で草刈り機と熊手を担いで登って行った。



草刈り機にはガソリンが満タンに入れてあるので結構重い。肩にタオルを置いて私が担ぐ。手には手袋を二重にしていった。野ばらの群にもくずが巻き付いているので要注意だ。きれいだから残しておこうなどの生易しい気持ちでは埒があかず、すべて切る。途中でガソリンが無くなって、またいっぱいに入れる。



2日間で下の段はだいぶきれいになった。あと上の段をきれいにするのに3日はかかるだろう。梅雨が明けると暑いだろうな。



 



クマゼミが鳴き始めた。



 



草刈り