3月18日から22日まで宇部市文化会館第2展示室にて米本一幸・宏二郎 墨と彩の響流展が開催された。
米本一幸は石井啓子の母、宏二郎は石井啓一郎啓子の次男。書と油絵60点ほどが展示された。

書と油絵は同じ美術の仲間ではあるが、描き方、色使いによっては全く相容れない分野かも知れない。しかし宏二郎の絵はまるで日本画の様な筆致で母のかなの書ととてもよく調和していた。また親子ではなく一世代飛ばした孫と祖母の二人展という企画はあまりないかもしれない。
88歳(数えで言うと卒寿)と39歳、ほぼ50歳違いの作者はお互いの作品を高く評価している。今回母は山口県での開催ということを意識して山頭火の句を多く書いたが、その中の7句に宏二郎が挿絵を付けた作品も並ぶ。書の流れ、主張を損なう事なく、それでいて絵があることでその作品が生きてくる。これは絶妙なコラボだ。山頭火のふるさとばかりの5句を集めて横に並べた作品群もある。これは万葉仮名を使わずに書いたので誰でも読めて優しさあふれる作品となった。山口県の徳地和紙を使った作品も3点展示された。徳地和紙は奈良時代から受け継がれている山口県の特産で、職人さんはもう二人だけになってしまったが、この地方で採取される良質のこうぞみつまたを使って昔からの手法で紙を漉いている。とても丈夫なので電気スタンドの傘や人形作りに使われたりしているが、今回初めて取り寄せてみて書の作品となった。

第2展示室は327㎡の広さがあり初めは3分の一ほどを仕切ろうかとも思ったが、作品の点数が多く、宏二郎は一番大きな作品の展示を取りやめたほどだった。広い会場の真ん中には嵯峨御流の辻井ミカ先生のご紹介で広島からわざわざいらして下さった青野直甫先生が立派なお花を活けてくださった。初めは蕾だった桜は会期中にだんだん開いてきて最後満開になり美しかった。
「咲き満ちて桜たわわに那智の神 水原秋櫻子」
という作品もあったが、本当に神様がこの会を支えて下さったのかもしれない。
来場者5日間で647人。

響流展
会場は大変広かった。
コラボ
米本一幸の書に宏二郎が絵を添えた7点。
徳地和紙
徳地和紙を使った作品
絵と書
書と絵の作品がバランスよく展示された。
嵯峨御流
最終日のお花。桜も椿も散らずに咲いた。青い壺も美しかった。
桜
3か所のコーナーには繊細なお花も活けられた。
チューリップ
この黒い花はチューリップ
変わった花
こんな花も。(葉はジャングルブッシュ、筒のような花はバンクシアという花だそうです)