増渕晴香 石井陽子(本名 増渕陽子)の長女 1歳4ヶ月。
生まれてこのかた、まだ一度も熱を出したことがない。人見知りもするが、大丈夫だと思った人には大変愛想が良い。
時代劇大好きな石井啓一郎は、自分のことを「おじいちゃん」とか「ジイジ」などと呼ばせずに「大御所様」と呼ばせたくて、今はまだ難しいので「ゴショサマ」と言って自分をアッピールしている。

その「ゴショサマ」と一緒に晴香は初めて寂地峡に行った。
寂地峡は山口県と広島県と島根県の県境に近く、連なった5つの滝で有名なキャンプ場。私たちのお気に入りの場所で、昨年もオーケストラの仲間何人かと一緒に行った。
火をおこすのが好きな石井は着くとすぐ取りかかって、やがて炎が上るくらい炭がおこってきて、お肉などを焼き始める。野菜も大変おいしく焼けた。晴香は川で冷やしたトマトを豪快に丸かじり。
お腹がいっぱいになったら今度は川遊び。ここの川の水は大変冷たい。初め、お手々でビシャビシャするくらいだった晴香もだんだん大胆になってきて、川の中に入れるようになった。でもまだ顔に水がかかるのが苦手で、ゴショサマがざぶんと水をかけようとすると逃げる。滝の近くにも行ってみた。今年は日照りで水量が少なく、滝も前より勢いがなかったが、初めて見る滝に晴香は不思議そうに見入っていた。

帰ろうとしていた矢先に夕立が来た。
私たちは流し場に避難したが、クーラーボックスやバーベキューのコンロなどびしょぬれになった。
やっと雨が小降りになって、荷物を車に積んで岐路につく。
日照り続きだった道からは、今の雨が湯気になって立ち昇っていた。



火をおこす石井啓一郎


トマトを丸かじり 1つを全部食べてもう1つおねだり


ゴショサマと川遊び


滝の近くまで行く