10月8日(日)午後2時より宇部市の渡辺翁記念会館にて宇部興産グループチャリティーコンサート、日本フィル宇部公演が開催された。

宇部の町で起業し発展してきた宇部興産。その創業者、渡辺祐策氏が経営の基礎とした、企業とそれを取り巻くあらゆる人々が共生し、栄えることという信念を会社は今でも持ち続け、2008年に始まった日本フィル宇部公演。今回はちょうど10回目の節目を迎えた。宇部の町には音楽のDNAが入り込んでいる。それは渡辺翁記念会館という今年築80年を迎える素晴らしいホールが戦後も残ったことと、そこを拠点として終戦直後から世界的に著名な演奏家を次々と招聘し演奏会を開いてきた宇部好楽協会の俵田寛夫氏がいたこととが大きく関与している。この日本フィル宇部公演はチャリティとして本公演だけでなく、山大付属病院や中央病院でのロビーコンサート、市内の中学校を対象とした音楽クリニック、また入場料は地域の音楽文化向上のため全額寄付され、その一部は市内の吹奏楽部の楽器贈呈にもつながっている。そういう風に企業と地域が音楽で結びついている所は他にあまり例がない。
今回は指揮に藤岡幸夫、ソリストに上原彩子を迎えてラフマニノフピアノ協奏曲第2番とチャイコフスキーの交響曲第5番が演奏された。華麗なピアノの音とチャイコフスキーの壮大で表情豊かなオーケストラの響きが空席の一つもない会場に満ち、聴衆を圧倒した。
日本フィルを退職した後もこの公演だけは一緒に演奏していた石井は今回、いろいろな事情で舞台には上がらなかったが、終演後の打ち上げでは挨拶もし、宇部市民オーケストラのメンバーも入った8重奏+コントラバスで青い山脈と故郷を披露、みんなは大いに楽しんだ。

日本フィル宇部公演会場
渡辺翁記念会館。村野藤吾の建築による重厚な感じのホール。
1350程の座席は今回だいぶ前から完売していた。
日本フィル宇部公演2017
演奏を前に指揮者藤岡幸夫氏のトーク
日本フィル宇部公演2017打ち上げ
打ち上げの席で。
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常盤湖畔には秋桜が美しく揺れていた。