2022年09月

9月17日(土)からミュージックキャンプ宇部は始まった。
参加者は宇部市から15人、山口市から10人、山陽小野田市から1人、下関市1人、周南市1人、防府市1人、岩国市1人、広島市1人、東京近郊4人の計35人。
俵田寛夫氏の見守るいつもの俵田邸応接室と、今回は2階の洋間もレッスン室として使わせていただいた。講師は桜庭茂樹先生と石井啓一郎、石井啓子。ピアノ三重奏曲などピアノが入っているグループは7組。弦だけのグループは8組。一日目石井啓一郎が担当したグループは二日目は桜庭先生の指導になるよう二手に分けてスケジュールを組んだ。
1日目のレッスンが終了した頃、台風の問題でスタッフ達は頭を突き合わせて協議していた。
910hPaという今まで聞いたことがないような数字の超大型台風が18日夜から19日にかけて宇部を直撃するという予報。危険を冒してまでも演奏会を開催していいものかどうか。予報はあくまでも予報であって、実際にはどうなるか分からない。何度もスマホの台風情報を確認する。どうやらかなりの確率で宇部のほぼ真上を台風が通る。超大型の台風だ。看板が飛び、トラックも横転するくらいの台風と言っている。急遽、演奏会は中止ということになった。
でもレッスンは18日夕方までは実施。ただ東京組のレッスンは午前中にすべて終えるようにスケジュールを組みなおし、彼らはお昼過ぎの新幹線で帰っていった。桜庭先生のレッスンも18時ぎりぎりまではやって、やはり新幹線で東京へ。慌ただしかった。
それぞれのグループは1日目より2日目の方がだいぶ成長した。演奏会が開催できないのは大変残念だった。

18日の夜は久しぶりに台風らしい台風で、風も雨も相当なものだった。宿泊していたユースホステルでは翌朝起きてみると、食堂の窓ガラスは割れ、雨漏りと隙間から吹き込んだ雨で床がびしょ濡れだった。午前中、拭き掃除に追われた。
演奏会がなくなったので19日は予定は他には何もなかった。テレビでは今台風は山口県に最接近しているので最大級の警戒をお願いしますと言っていた。しかし昨夜の暴風雨はもう通り過ぎてしまったかのように静かになっていた。ただ、山陽道も一般道も通行止めになっていたので岩国に帰ることは出来なかった。一日ユースホステルでのんびり練習して翌20日に岩国に帰った。テレビの雨雲レーダーなどの画面では岩国の方が雨がだいぶ降っていたような様子だった。錦川や小瀬川流域では、錦帯橋の橋げたの一部が流されたり、家屋が浸水したりの被害があったようだが、我が家の周りではほとんど台風の爪痕は見られなかった。

昨年はコロナの蔓延防止条例のため、今年は台風のため、予定されていた演奏会は2年連続でできなくなってしまったが、受講生達はいつも意欲的で、プログラムにも大曲が並ぶ。
来年は出来ますように。


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俵田邸応接室でのレッスン風景

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幻になったプログラム






9月10日(土)午後2時より岩国国際観光ホテルのロイヤルホールにてウクライナ支援チャリティコンサートが催された。
主催は岩国健人会議が立ち上げた実行委員会。健人会議というのは岩国在住で、古希を過ぎ、心身ともに健康でなお現役で地域社会に貢献しているシニアリーダーのグループ。ロータリー関係の人が多い。彼らが何とかウクライナを支援したいとこの企画を練った。
7月から本格的に取り組み始め、3000円のチケット500枚はほぼ完売。当日集まった人も400人近く、会場はあふれるほどの人、人だった。
クラシックには馴染みがない人も多いとのことで、プログラムは小品ばかり。
エルガー 愛の挨拶、ウクライナの歌 黒い瞳、サラサーテ アンダルシアのロマンス、サラサーテ バスク奇想曲、休憩を挟んで、エルガー 朝の歌、ウクライナ支援曲 ひまわりの想い、サラサーテ ハバネラ、外山雄三編曲 浜辺の歌、ウクライナの歌 鶴、サラサーテ チゴイネルワイゼン。
ウクライナの曲は今回初めて演奏したが、特に鶴はみんなの心にしみわたったようだった。ウクライナの詩人が作詞した曲で、ウクライナの兵士たちが戦いに倒れて、鶴になって大空へ羽ばたいていくという詩。解説したので、みんなそれぞれが、戦争を思い、亡くなった兵士を思いながら聴いてくれたようだった。この曲はロシア歌曲集には載っていなかった。私の芸大時代の声楽家の友人に問い合わせてみたら、彼の手書きの楽譜を送ってくれた。ロシアの色々な事情のため、出版はできないとの事だった。演奏出来て本当に良かった。
日本は平和で、こうやって午後のひとときを音楽に身をゆだねていられるが、こうした間にもウクライナでは何人もの人が亡くなり、町はがれきと化していっている。
ウクライナはロシアに隣接しているが、独自の文化を持っており、ハイフェッツ、リヒテル、ホロヴィッツ、オイストラフなどなど、近年世界的に活躍したウクライナ出身の演奏家は驚くほど多い。
ロシアの侵攻が始まってはや7か月が過ぎる。今後どうなっていくのか。戦争が終わっても復興への歩みはいろいろな意味で厳しい。
寄り添って歩みたいとの念を改めて強く感じた一日だった。


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あふれるほどのお客様でした

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