2013年02月

 2月14日。この日はとてもいい日だった。
まず、廿日市市のストーブ屋さんから一人の青年が来てくれて、調子の悪かった暖炉を掃除してくれた。
1999年に宏樹庵が出来て以来、14年間一度も煙突の掃除さえしたことがなかった。
した方がいいのだろうとは思いながら、自分でやるのは大変そうだと足踏みしていた。
暖炉は1月終わりごろからついに、ダンパーを下ろすとほとんど燃えなくなってしまった。空気の入り込み方が足りないと思ったので、自分で暖炉内部をブラシでこすったりしてみたが、どうも分解しないと無理のようで、この暖炉を入れてくれた九州のM氏に手紙を書いた。彼はすぐにこの暖炉のメーカーに電話をしてくれて、そこのメーカーさんが岩国近辺のストーブ屋さんを捜してくれた。そのストーブ屋さんから2月4日に電話があった。14日に来てくれるとのこと。10日に来客の予定があったが、1階の暖炉が使えず寒いので、2階の囲炉裏で食事をすることにした。鯛の粕漬けなどを作って炭で焼いたらとても美味しかった。
そして14日、朝から首を長くして待っていた。10時過ぎにやっと来てくれたのはこの仕事4年目という一人の青年。地下足袋に履き替えて長い梯子を使って屋根の上に登り、煙突の帽子を外して持って降りた。すすだらけだった。煙突も外して庭で掃除した。暖炉も分解してみると、ダンパーの所の隙間を埋める縄状の物がもうボロボロになっていた。空気を内部に送り込むコンバスターも目詰まりして変形していた。だから空気が入らなかったのだ!
それを交換して、その他のところもきれいに掃除し、ガラスや天板も磨いてくれたので、とてもきれいになった。夜、火を点けてみると、あんなに燃えにくかったのが、不思議なくらいどんどん燃えて部屋はすぐに暖かくなった。幸せになった気分だった。

もう一つは、前から作りたかったソーセージ。
ネットで道具をセットで売っているのを見つけて注文したのが14日に届いた。
さっそく塩漬けの羊腸を塩抜きしている間に豚肉を買いに行って、もう夕方になってしまったが、作り始めた。肉を包丁でたたいて細かくし、おろしたニンニクやナツメグその他のスパイスと混ぜ合わせる。それを腸に詰めていくのだが、これが結構な力仕事で、石井にも手伝ってもらった。長~いソーセージが出来上がり、それをねじって茹でる。
夜ご飯に、出来立てのソーセージを焼いて食べたら大変美味しかった。
大成功!!!


ストーヴ屋
身軽な青年、濡れ縁には外した煙突も置いてある

煙突の帽子
持って降りた煙突の帽子部分
さかさまに置かれている

ソーセージ作り
布製の搾り出し袋に入った肉を体重をかけて押し出す
お椀に入っている紐みたいなのがほどいた羊腸


ほうら、長~いソーセージが出来ました


 1月30日に八ヶ岳の外山雄三先生宅へ二人で伺い、3泊4日した。
最低気温マイナス20度の極寒を体験したくてこの時期にしたのに、確かに野辺山駅では最低気温マイナス16度の日もあり、外山先生のお家はそれより更に車で40分、標高500メートルくらい登った所なのでマイナス20度近くにはなったのだろうが、ずっとお天気が良くて雲ひとつない青空が続き、午前8時頃には大きな窓からまぶしいほど燦々と光が射して、暖炉を燃やさなくても床暖房だけで部屋の中はぬくぬくと大変暖かかった。外へ出ると新鮮な空気が美味しくて思わず深呼吸をするほどだった。
雪道を皆で散歩した。
雪の上にはたくさんの動物達の足跡があった。遠くの雪嶺は光り輝いて空に聳え立っていた。八ヶ岳の中の横岳という山だそうだ。別荘地なので所々に家が建っている。しかし、この極寒の間に住んでいる人は一人もいないそうだ。管理事務所の人が時折パトロールをしてくれているので安心ではある。
先生の家には広いウッドデッキがあり、えさ箱が置いてあるので、コガラ、エガラ、シジュウカラ、アトリ、シメ、ウソ、カケス・・・などいろいろな鳥が寄ってくる。リスも来る。先生自らがウッドデッキに出て、ひまわりの種をえさ箱に入れ、
「ミカ、ほら大きなリスが来てるよ!」
などと、とても可愛がっている。
ウッドデッキを降りたところには食事のためのテーブルと椅子があるのだが、今はテーブルの上に50センチほどの雪が積もっていて、椅子も雪の中なので使えない。

お食事もとても美味しかった。暖炉でピザを焼き、オーブンでツヴィーベルンクーヘンを焼いて下さった。
ある時、先生が、
「ちょっと2台ピアノで遊んでみない?」
とおっしゃって、私の目の前に楽譜を置かれた。プーランクの2台のピアノのための小品だった。私はお断りすることもできず、何曲か弾くはめになってしまった。初見は大の苦手の私は本当に赤面ものだったが、聞いていた石井は楽しいねぇなどと言っていた。
先生の手書きの楽譜もたくさんあって、その中の何曲かをコピーしていただいた。フルートとヴァイオリンとピアノのためのトリオもあって、ピアノパートは途中からほとんど休みか、あるいは鉛筆でメモみたいなのが書かれていただけだったので伺ったら、その曲はヴァイオリニストの坂本氏の何かの記念の時書いた曲で、初演は坂本氏と、N響の小出氏と、ピアノは先生ご自身がお弾きになり、時間がなかったのでピアノパートは書かなかったのだそうだ。これをちゃんと完成した楽譜にして送ってくださるようにお願いした。
交響詩「まつら」の楽譜にも話題が及んだ。
「まつら」は1980年代に唐津日本フィルの会が先生に委嘱して書かれた曲で、唐津の有名なお祭り「おくんち」の音楽が主体になっている。初演は渡邉暁雄指揮、日本フィル。その後も何回か再演され好評だった。その楽譜が現在先生のお手許になく、おそらく管理しているのは唐津市役所だろうが、紛失してしまう前にどうにかしようということになった。帰宅したら早々に調べてみよう。

2月2日帰る日の朝、前の晩ちらちらした雪だったのが、何と言うことか雨になった!
この時期に雨が降るなどということは異常気象だ。これが夜になって冷え込むと路面はまるでスケートリンクのようになり、車でしか移動手段のない先生方はこわいねぇと恐れていらした。
9時頃、お家を後にする時、日が射してきて大きな虹のアーチが私達を見送ってくれた。


先生のお家
広いウッドデッキのある先生のお家

散歩
雪道の散歩

横岳
横岳その他の山々

ウッドデッキ
雪に埋まったテーブル

うそ
集まってくる小鳥たち

玄関先の小鳥達
玄関先にも小鳥が

2台ピアノ
2台ピアノでお遊び、私は冷や汗

虹に見送られて
虹のアーチに見送られて

野辺山駅
JR駅では標高が最も高い1345.67メートルの小海線野辺山。
ここからから名古屋に出て岩国に


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