6月1日京都コンサートホール、10日ヒストリア宇部、14日東京文化会館と続いた石井啓一郎ヴァイオリンリサイタルが終わった。
ドイツから帰国して翌年から始めたヴァイオリンリサイタル、今回は45回目。大曲シューベルトの幻想曲の前奏として初めてピアノソロのシューベルト即興曲op.142-2を入れた。休憩後のプログラムはピアノソロで始まると思っていた人達は、石井や譜めくりの人と共に3人で私が舞台に出てきたのを見てアレっと思ったらしい。弾き始めたのは即興曲だったが、美しく弾き終えても拍手する間も与えず次の幻想曲に突入。思いがけない導入だったが納得のいく運びだった。幻想曲は30分もかかる大曲だが、初めから最後までピアノは弾きっぱなしで、ある人は「先生の指は20本あるんですか?」と言っていた。前半のモーツァルトのソナタはモーツァルトの短調の曲があそこまで美しいとはと感想を述べてくれた人もいた。クライスラーの4曲もおしゃれな曲で聴きやすかったと思う。
しかし3か所どこでも集客には苦労。京都ももう大変なので今年限りにしようかと思ったのだが、スタッフ達は来年も是非と言う。宇部は会場が狭いのだが少し手を打てばもう少し入るかもしれない。東京は150あまり。こんな所か。
今回は私の母が久しぶりに聴きに来てくれた。この10年ほど腰が痛くてホールの椅子には座っていられないなどなどの理由で足を運べなかった。今年に入ってずいぶん元気になってきて、自分より一つ年上の叔母が来てくれるとの事を聞いて、では自分も行ってみようかという気になった。家からの往復は陽子達に頼んだ。母は96歳。最長老の叔母は97歳、その妹は94歳と87歳。会場で久しぶりに父の姉妹が勢揃いした。97歳の叔母は耳が遠くなっているのにヴァイオリンとピアノの音は聞こえたらしい。感激して涙を流さんばかりだった。彼女達の人生の中で少しは心躍る時間を共有できたかもしれないと思うと嬉しかった。 

AAB6A3A5-12C7-4DF4-8F93-4083F8758DE1
左から父の一番下の妹、一番上の妹、母、二番目の妹、少し顔が隠れてしまったけれど私の従妹、妹。
E124BC20-6859-4ED1-A5FA-19D0865EF9D5
立派な京都コンサートホール入口

5月4日からミュージックキャンプが始まった。
今年は連休の関係で3日から岩国入りする人が多かった。演奏で参加の人は32名。その家族、食事係など総勢40人。東京方面、大津、西宮、福山、広島、山口県下から集まる。レッスンは宏樹庵と黒磯自治会館の二手で石井啓一郎と桜庭茂樹先生がみる。ピアノのある三重奏や五重奏は石井啓子も一緒にみる。初参加は東大生2人、岩国在住の高校生、和木のヴァイオリン奏者と大竹の81歳のピアノの先生、山口のヴィオラ奏者。宏樹庵に泊まったのは12人。その中の二人は一晩はツリーハウス宿泊に挑戦。楽しかったようだ。2000年に参加した人が今回、小学3年生の娘さんと久しぶりに参加してくれたことも特記すべきだろう。プログラムはシューマンやメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲やドヴォルザークのピアノ五重奏曲など大曲ぞろい。小学3年生から81歳の人、皆それぞれの曲に一生懸命取り組んだ。
食事係は宏二郎夫婦が担当。石窯ピザや手作りのパンのサンドイッチ、チキンスープ、鯛のアクアパッツァ、ホイルで包んで姿焼き。サラダ。それにバーベキュー。参加者の一人が朝早く魚市場に行き、大きな鰹を買ってきて刺身にさばいてくれた一品もあった。
6日午後1時半より由宇文化会館にて「散歩がてらのコンサート」が開演される。由宇文化会館にチラシを置いておいたらそれを見て来てくれた人もいていつもより当日券は多く出た。
皆、緊張しながらも上手に弾けた。
4時半頃終演。ほとんどの人が宏樹庵に移動して、ここではまず5月6日生まれの二人の参加者のためにHappy Birthdayが奏されケーキの贈呈式もあった。思いがけないお祝いに二人は大喜び!その他にもショスタコーヴィッチのデュオや様々な曲の演奏に皆、興じた。
色々な反省点はあったが、皆で音楽の楽しさを味わったことは確かな事で、自分の演奏に反映し、来年につながっていくことだろう。


230505ミュージックキャンプ01
子供たちも自分でピザのトッピング

230505ミュージックキャンプ05
ピザ職人の宏二郎

230505ミュージックキャンプ02
手作りのパンに好きなものを挟んで。パンはずっしりとして食べ応えがあった。

IMG_1416
大きな鯛でアクアパッツァ

IMG_1418
ホタテも焼く

IMG_1415
雨が予想されていて心配だったがかがり火もできた。

230505ミュージックキャンプ37

230505ミュージックキャンプ32
練習の合間に今年はこんな試みも。マスキングテープを使って芸術作品!

IMG_1417
宏樹庵でのレッスン風景。81歳の女性はしっかり弾いていた。


230506散歩がてらのコンサート18
由宇文化会館での本番。ほのかも一人前に舞台へ。

230506散歩がてらのコンサート28
モシュコフスキーの組曲。これが演奏者も踊っているようで大好評!

230506散歩がてらのコンサート47
プログラムの最後は講師によるメンデルスゾーンピアノ三重奏曲

IMG_1419
打ち上げでの演奏会

4月2日日曜日午後2時よりシンフォニア岩国多目的ホールにて石井啓一郎ファミリーコンサートが開催された。
愛の挨拶に始まり、チゴイネルワイゼンで締めるといういつものパターンで、今回内側に入るのはヘンデルのヴァイオリンソナタ、クライスラーのレチタティーヴォとキャプリス、シンコペーション、ウィーン奇想曲、クーラウのフルートとヴァイオリンとピアノによる協奏的三重奏曲。休憩を挟んでシューベルトの即興曲と幻想曲、そしてウクライナと日本の歌をフルートで。ヴァイオリン1本で弾くことはあまりなかったのでレチタティーヴォとキャプリスは新鮮だったとの感想を寄せて下さった方もいたが、拍手が一番多かったのは3人で演奏した三重奏曲だったように思う。
お客さまは昨年並みに130人ほど。このコンサートは今回で22回目。ずっと聴き続けている方の中にはもう高齢になって来れなくなった方もいる。その代わりに初めてという方がかなりいてありがたいことだ。
コンサートの形も多様化し、オンライン配信があったり、ゲームの音楽ばかり集めたプログラムでやったり、お客さんをどうやったら集められるか皆苦労している。でも、今回も会場に足を運んで下さった方々は、真面目に取り組んでいる音楽を肌で感じて、自分の生きていく力にもなったのではと思う。思いたい。「すごく良かった!」「涙が出ました!」「夢のような時間でした」などの声が寄せられた。
耳だけで聴くのではない。目で見て、肌で感じて、会場で一緒に聴いている人全体の、そして演奏している人の、息づかいを感じてコンサートは成り立つ。
初めていらして下さった方々、どうぞ来年もお運びください。

230402石井ファミコン24


230402石井ファミコン19

↑このページのトップヘ